手帳探しの旅

冒頭から暴投

 僕が初めて手帳を購入したのは、就職の事をアレコレ考え始めた大学4年の春。当時は、手帳に書くほどの予定もなかったのだが、これから始まる就職活動の事を考えると「持っていた方が良いのでは?」との思いから、書店で売っていた安価なダイアリー式手帳を購入した。
 せっかく購入した手帳も、実際それほど活用せず、総面積の1%を埋めるに至ったかどうかすら疑問だった。まぁ、暇な人間には手帳は不要という事だね。
 一転して、社会人になってからは、毎日30分刻みで予定が入る生活となった。嫌が応にも、手帳のフォーマットの使い易さを求めるようになった。
 そんな中、会社で支給される手帳の使いにくさにイライラしたり、当時会社として導入していた「知的生産性向上システム(だったかな?)」という名の、業務改善プログラムに即した、無駄に大きく、書かなくてはいけない項目が異常に多い手帳に辟易したり、手帳というものに納得できない日々が続いた。
 その頃から文房具屋さんや書店に行く度に、自分の使いやすいと思われる手帳を物色し、何時間もアレヤコレヤ考える「手帳探しの旅」が始まった。でも、一度たりとも(自分にとって)完璧!と思えるものに出会う事は無かった。悩んだ挙句、スケジュールをPC・スマホと同期させ、デジタル管理し、手帳はノートとしての機能のみ・・・と割り切ってみたりもした。でも、ちょっとした手違いやら、不具合で消えてしまうデジタルデータの危うさに我慢できず、結局、数年ほど前から、スケジュール管理をまた手帳に戻した。
 僕の「手帳探しの旅」が再度始まった。
 旅の途中(笑)、考えに考え抜いて入手したはずの手帳も、1年経たずに破棄。下手をしたら、年に3〜4回手帳を取り替える事も少なく無かった(笑)。
 そんな中「ジブン手帳」という手帳をいただく機会があり、1年弱使ってみた。コンセプト的には共感できたし、かなり使い勝手が良い手帳だったが、僕にとっては不要な部分が多く、結局またお蔵入り。
 その後、無造作で無骨な革の表紙の風合いと、理想的なサイズ感に魅力を感じ「所有欲」に負けて購入してしまったのが、今も使っている「トラベラーズノート」だ。
 不純?な動機で購入した手帳なだけあって、専用リフィルにはやはり納得できなかった。
 ただ「トラベラーズノート」の良いところは、リフィルのサイズさえ合えば、色々と差し替えが可能であるところ。表紙の風合いと、(僕にとっての)手帳としてのサイズはベストなのだから、あとは、自分で使いやすいリフィルを作ってしまえば完璧な手帳になるはず。
 今の時代、自作リフィルを「オンデマンド印刷」で印刷すれば、自分専用の手帳も1冊から作れる。市販のリフィルに比べ、倍以上の値段になってしまうのが難点だが、自分が求めていたフォーマットが手に入ると思うと、値段以上の価値を感じる。印刷用のデータを作る作業も膨大だが、その辺の労力は、さほど苦にならないし、寧ろ、リフィルのデザインって結構楽しい・・・と思ってしまうのは、手帳好きなる所以か(笑)。
 そんなこんなで、今年の初めから、自分専用のリフィルを使っているが、使いながら、改良していく事を考慮し、3ヶ月1単位のリフィルを作った。3ヶ月ごとに改良し、新しい手帳を手にする事で、気持ちもリフレッシュできるしね。手帳が新しくなるだけで、しっかり仕事の予定を立てたくなる。四半期ごとに新年の仕事初めみたいな感覚になれるのは、僕にとっては結構ありがたい。
 結局僕の「手帳探しの旅」は、旅を始めてから28年目にして「手帳作りの旅」となった。この旅に果たして終わりはあるのだろうか(笑)。